〜起業の戦略〜
第11話 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 | ||
1.企業の崩壊 | ||
@
あらすじ ビアンカ社がリトルバードと専売契約を結ぶ前にHANADAと契約していたことで、プランタンはリトルバードの出店を白紙に戻すと通告し、リトルバードの成長戦略はとん挫する。一方、太田と永瀬が一夜を共にしたことにショックを受けた鴨下は、リトルバードを辞めた。資金がショート(不足)しそうな経営状況で、永瀬と太田は積極的にビアンカの製品を他の店へ売り込もうとする。経営者として追い込まれた野島は太田と対立する。太田はリスト・ドゥ・マリアージュというヨーロッパの習慣を事業化し、リトルバードの起死回生を図るが… A ドラマのポイント a. なぜ、プランタンはリトルバードの出店を白紙に戻したのか? ビアンカ社の独占的販売者として、リトルバードの売上に期待していたため、事業を始めたばかりのリトルバードをプランタンが先物買いをした。HANADAもビアンカ社製品を販売できるとなれば、規模が大きいHANADAとの競争に負ける可能性が高いため、プランタンは出店を白紙に戻した。 b. リトルバードの資金繰りはどのような状況か? 開業当初から社員の給与も滞っていたようだが、プランタン出店のために、商品の輸入買い付け、什器の購入、店内の内装、保証金などを信用金庫を始めとして借入に依存していたようだ。その返済を迫られるような状況で、運転資金(日常の営業に必要な資金)が不足する状況になってきたようである。 c. 在庫を売りさばくためにはどうしたら良いか? ブランドイメージを大切するには、ディスカウントはしたくないところであるが、資金繰りの厳しい状況から、大量に購入してくれるような小売店等の法人顧客への販売や、大量販売が期待できるカタログ通販などの販路を経由して販売することを考えないといけない。 d. 野島の精神状況や言動を考えよう。 倒産の危機に瀕し、社長としてかなり追いつめられてきている。野島は以前から感情的な言動が見られていたが、危機に直面してそれがいっそう強くなり、経営者としての視点を狭め、合理的意思決定を防いでいるようだ。 e. なぜ、花田社長は野島と会って話したのか? 野島の判断を狂わせて、リトルバードへ最後のとどめを刺すため、お芝居をした。自分の会社の社長業が忙しいはずなのに、なんでそこまでするのか分からない。 f. 太田の強さと、野島の強さ、どこが違うのか? 野島は気が強いだけで、危機的な状況ではその強さが発揮できず、精神的に弱い。太田は気が強いわけではないが、精神的に強く、経営者としては太田の方が向いているかも知れない。 |
||
2.経営のミス,事業の失敗 | ||
@ プランタン出店がダメになったことでのリトルバードへの影響 a. プランタン出店は1000万円単位の資金が必要とされる事業で、資金を借入に頼ったため、出店中止によってその借入資金の返済のめどが立たなくなった。 b. プランタン用の商品が在庫として重くのしかかる。 A 野島の戦略の分析 a. 2兎追うものは1兎も得ず。自由が丘店は軌道に乗ったとはいえ、まだ、利益が十分でていないはず。そんな時に、新たな出店を借入で行うものは無茶である。 b. 資金繰り計画が不十分なまま、楽観的見込みだけでプランタン出店を決めたのではないか。 c. 経営資源に余裕のない企業は、追加コストをかけないで売上を伸ばす戦術を実行しなくてはならない。 d. 選択と集中が行えていなかった。 e. リスクの大きな戦略に対するヘッジができていなかった。 B 経営者としての野島の分析 a. MBA取得者にしてはビジネス・プランがいい加減 b. 裏付けがないのに強引に経営する強気が破綻を招く。 c. 思いこみが激しすぎて、事業を客観視できない。 C リトルバードの事業モデルの甘さ a. 初期投資が大きくなりすぎる b. 投資に対してリターンが十分生じるまでに時間がかかる c. 経営資源を共有した販売増加を組み込むべきである D リスト・ドゥ・マリアージュの事業性 a. 販路が飛躍的に広げられる。 b. パンフレットを置いてもらい、売れた場合に店へ手数料を払うシステムなので、コストを変動費化できる。 c. 一方、値上げしなければ、店への手数料分、収益性が低下する。 d. 消費者へのブランドの認知が十分でないため、現品がなく、写真だけで購買意欲をかき立てるところに限界がある。 e. パンフレットを置く店が積極的に販売したくなるようなインセンティブが必要。 |
||
3.組織の崩壊 | ||
@
ビジネスモデルの欠陥…利益が十分に挙がらないなどの、ビジネス自体に欠陥がある。リトルバードのビジネスモデルは、ごく一般的なもので、商品には独自性があったが、ビジネスモデル自体には独自性がなかった。ただ、戦略次第では儲かったはずだ。 A 強力な競争相手…競争相手を考慮した販売計画を立案する。リトルバードにとって、HANADAが執拗にリトルバード潰しに動いたことが誤算になって、商売が行き詰まった。 B リスクへの耐性不足…余剰経営資源の少ない小企業にとって、リスクへの備えが十分でないことが多い。そのため、確実性がよほど高くない限り、リスクの少ないビジネスを当初行う必要がある。 C 仲間割れ…企業は人の協働システムである。社員が少ない小企業で仲間割れをしたら、企業は十分に機能しない。仕事ではなく、恋愛ごとで仲間割れをしてしまったことに、野島は怒っていたが当然であろう。 D 経営者の能力不足…戦略の立案、組織化、実行力、リーダーシップなどに関する経営者の能力。野島がプランタン出店をもっと慎重に判断したら、リトルバードの経営はどうなっていただろうか。百貨店への出店要請は、ビアンカ社の製品がブランドとして確立できた後でも遅くはないと思う。リーダーシップに関しても、仲間割れを起こすなど、能力の不足は否めない。 E オペレーションの失敗…日常業務の有効性と効率。リトルバードの店舗運営ではとりたてて言うほどの失敗はなかったようである。 F 資金不足…リトルバード程度の資金で、自由が丘に店を構えて事業を開始すれば、当然、借入をしなくてはならない。自己資本の金額から、もっと低コストで事業を開始した方が良かったのではないか。 |
||