〜起業の戦略〜
第4話 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 | ||
1.事業モデルの確立 | ||
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あらすじ 大沼の自然の破壊につながるホテルの建設を反対する三ツ木エンタープライズの二代目三ツ木隆介専務(大沢たかお)に事業プランのプレゼンテーションを断られた。太田の粘りで現地へ視察することに成功する。三ツ木は太田と二人だけで話しながら、価値観の似ている太田に関心を抱く。その結果、三ツ木はホテルの件を検討してくれることになった。しかしながら、数十億円の規模のプロジェクトになるため、三ツ木は他の業者と企画のコンペを要求した。良い企画を考えようと太田は焦るが、そんな時三ツ木専務に呼び出される。ところが、競合相手となるブライダル企画株式会社の出目の陰謀で、太田は三ツ木を誤解してしまい… A ドラマのポイント a. 三ツ木はなぜリゾートホテル建設の企画を受け入れようとしたのか? 三ツ木は太田の考えを認めたことと、太田に惹かれためと思われる。 b. なぜ三ツ木はリトルバードの企画に決めず、ブライダル企画との競合にしたのか?そして、報酬をホテル開業後の利益に対して設定したのか? やはりリトルバードのような実績のない会社に全面的に任せるリスクを考慮したのであろう。また、競合となれば、よりよい企画が生まれるかも知れない。ただ、競合のさせ方がリラクゼーションホテルと結婚式場、事業経費の異なる企画を持つ会社を選んでいるのは理解しがたい。企画料をホテル開業初年度の20%、その後は10%というように成功報酬型にしたのは、ホテル事業のリスクが高いからである。ホテルの場合、開業当初は減価償却費や広告費など支出が多く、赤字になりやすい。その初年度を20%とした三ツ木は非常にシビアだ。もしかしたら、父親の社長がそう決めたのかも知れない。 c. なぜ太田は当面利益にならないホテルの企画をなぜ受けたのか? 野島が言うように、ホテルの企画報酬は手に入れられるとしても1年後であるし、手にはいるかどうかも不確実だ。今、資金が欲しいリトルバードには、厳しい条件だ。しかしながら、太田はホテルの企画と食器販売事業のシナジー(相乗効果)を見つけ、企画料が手には入る前にホテルへ食器を納入することで食器事業を開始できる戦略シナリオを描いている。そこに気がつかない野島は、果たしてハーバードビジネススクールでMBAを取得した優秀なビジネス・パーソンなのか? d. 先走ってイタリアに食器を買い付けに行こうとしている野島の意思決定をどう思うか。 ホテルが開業する時に食器を納入する腹づもりであるが、食器を納入に当たっては入札などが考えられるため、現段階では捕らぬ狸の皮算用にすぎない。それなのにイタリアへ食器を買い付けに行くというのは、無謀である。また、食器を納入するのはホテルの完成が近くなった時期であり、ホテルの建設には時間がかかるため、食器納入は1年後かも知れない。それなのに今食器を買い付けて長期在庫とし、資金を塩漬けにしておくのは、資金が潤沢にないリトルバードの財務状況から考えて得策ではない。よって、ホテルの企画コンペにも勝てるかどうか分からない段階で食器を買い付けることは、きわめてリスクが高く、しかもリスクヘッジがなされておらず、野島は別の意味のMBA(まぬけ・バカ・アホ)かもしれない。 e. 太田はなぜ遊びの部分を削ったリラクゼーションホテルにしようとしたのか? 太田が言うように、移り気な若い女性向けのホテルに特化するリスクを避け、家族客を呼び込みたいからである。そして、レジャー施設を増やすと、それだけ建設資金がかさみ、損益分岐点売上をクリアーできる客室稼働率は高くなる。そのため、大沼の観光資源を活かすシンプルなホテルにしようとしたのであろう。 B 用語の解説 a. 企画料…企画が採用された段階で報酬を得られる場合と、企画が事業化されて売上や利益があがって初めて報酬が貰える場合がある。前者の方がリスクは少ないものの、報酬は少ない。想定される事業規模が小さい場合に採用されることが多い。後者の場合は報酬が確実に手にはいるとは限らないものの、うまくいけばかなりの報酬が期待できる。事業規模が大きくなる場合に採用される。リトルバードが三ツ木エンタープライズと契約を結ぶ条件は、事業開始後1年後に初年度利益の20%、翌年以降は10%を報酬を獲得できる。 b. コンペ…Competitionの略。取引をしたい複数業者を競わせる方式。 c. シナジー・・・事業間に生じる相乗効果である。経営資源や組織能力の共有が源泉になる。 d. 損益分岐点売上高・・・損益が0になる売上高。 |
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2.ドメインとビジネスモデルの確立 | ||
@リトルバードの開業資金の問題→早急に収益を出すビジネスの開始の必要性 |
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