〜起業の戦略〜
第9話 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 | ||
1.小企業の財務戦略 | ||
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あらすじ 三ツ木の手術は無事終了するものの、太田は三ツ木の父の差し金で三ツ木には会わせてもらえない。棚上はリトルバードの内情をスパイし、花田へ報告する。リトルバードの売上は順調だが、小資本の有限会社ゆえにプランタンへの出店のため、国民金融公庫や信金からの融資が増加して、2,000万円に達している。太田は仕事も手が付かず、リトルバードの経営悪化でいらいらしている野島は怒り狂う。太田は、ブライダル企画の出目を通じて三ツ木との手切れ金3,000万円を渡され、その3,000万円をリトルバードの資金繰りに当てようとするが、野島は三ツ木との愛を取れと太田の申し出を拒む。そして、三ツ木の主治医の徳川と野島はある企てを図り… A ドラマのポイント a. なぜ、リトルバードの借入金が増加しているのか? プランタンへの出店コスト、保証金、内装工事費、什器、商品の仕入れを多分、借入金でまかなっている。リトルバードは自由が丘のショップの経営が完全に黒字化して利益を生み出す前にプランタンへ出店したため、資本蓄積が十分でなく借入に頼る羽目になったのである。 b. 野島の太田に対する態度をどう考えるか? 野島は経営者としての責任を一手に引き受け、資金繰りに奔走している。そんな野島の状況を知らず、任された仕事をきちんとしていなかった太田に対して野島が怒るのは無理もない。しかしながら、感情的に怒るのは良いとしても、なぜ、太田のような能力のある人材がミスを犯したのか、太田の事情を聞いてあげなかったのは非常にまずい。太田のミスの根本的原因を解消するか、解消できなくても軽減してあげることが、上司としての努め。起業の経緯からすれば、野島にとって太田は単なる部下以上のパートナーであるから、きちっとしたコミュニケーションを取るべきであろう。 c. 野島は3,000万円を受け取らなかった意思決定をどう考えるか? 経営者としては喉から手が出るお金かも知れないが、即座に「なぜ突き返さなかったの?」と太田に言う当たり、野島の人間としての優しさや友情を大切にする価値観が示されている。そこが経営者として甘いといえば甘いのかも知れないが… d. 花田と野島との共通点とは? 気が強くて、内面は弱いという性格。両者共に攻撃的な経営を行い、守りが不得意かもしれない。 e. 花田はスパイを送り込んでまでしてリトルバードをどうしようというのか? ドラマの中の話だけではなく、実際にこのような話は現実にある。ただ、スパイを送り込むというようなことではなく、ライバル会社の社員を引き抜くという手を使うことが多い。HANADAからすればリトルバードは弱者であり、正攻法でもリトルバードを叩けるのに、なぜ、こうした卑怯な手を使うのか。多分、プランタンの出店で、野島にプライドを潰されたことと、野島に潜在的脅威を感じたのかも知れない。 |
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2.起業形態の選択と法人設立 | ||
@ 資金の流れを管理する…資金が尽きたら倒産になるので、資金の流れを管理し、常に目を配る。 A キャッシュフロー重視の経営 a. 日々の事業を維持できるだけの資金を確保しておく b. 売上の代金回収をして初めて売上と言える c. 資金回収は速く、資金支払いはなるべく遅く d. 借入はなるべく少なく…リトルバードの借入は出資金の割には多すぎる。 B 資金計画 a. 入金と出金を予測の付く範囲で計画を立てておく b. 計画は水物ゆえに、不意の出費に備えるための余剰資金を確保しておく c. 手形を利用する場合は、それを織り込んだ複雑な資金計画を立てる。 d. 週単位の資金計画から始まり、月単位、4半期単位、半期単位、年次単位と積み重ねて資金計画を立てつつ、年度の予算計画を戦略ベースに立案し、すりあわせをしてみる。 C 資金調達 a. 小企業の主な資金源は資本(出資)金、売上、預貯金利息、借入金である。資金調達の構成比を考えておこう。借入金が多いと、金利支払いが利益を圧迫することになる。 b. 取引実績の少ない小企業の場合、借入金による資金調達は非常に難しい。事業開始時に国民生活公庫から借入ができたとしても、運転資金を民間金融機関から借り入れしようとしてもなかなか難しい。リトルバードは信用金庫から借入をしたことになっているが、取引実績があれば小企業にとって信用金庫の方が借入をしやすい。 c. 資金調達先としては親や親戚も考えられるが、最終手段にしよう。返済できなくなったら、人間関係がぼろぼろになる。 d. 投下資本利益率より高金利の資金には手を出さない。 e. 手形の管理は大変なので、なるべく手形は切らない。 D 資金回収 a. 現金で、迅速に回収する・・・商品・サービスの販売時に対価を回収できるシステムがもっとも手堅い。 b. 手形での受け取りはなるべく避ける |
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3.経理のお仕事 | ||
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経理の手順 STEP1 事業開始時の資産(資金、設備等)を記録する STEP2 事業開始後の資産の出入りを記録しておく STEP3 資産の出入りの記録から仕分けをして帳簿を付ける。特に手元資金の残高に注意する。 STEP4 月次単位で帳簿から財務諸表を作成する STEP5 財務諸表から資金状況を理解し、資金計画を再考する STEP6 半期、および年度ごとに損益計算書、貸借対照表等を作成する。これをベースにして税金支払いの準備をする。また、株主や出資者へ開示する。 A 帳簿を付ける・・・1日の終わりにまとめて記帳し、その日のビジネスを振り返る。 B 会計ソフトを有効に活用する…数字を入れれば自動的に仕訳、記帳。 |
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