(1) チームとグループの相違
?a グループの定義
メンバーが各自の責任分野内で業務遂行を助け合うことを目的に、主に情報を共有し、意思決定を行うために相互作用する集団である。
b チームの定義
チームは10名程度の人数で、各メンバーが柔軟に役割を変えながら、協力し、自律的に行動する。
c 八ヶ岳高原ホテルは基本的には責任分野が決まっており、グループの定義に近いが、場合によっては役割を柔軟に変えて協力し、若い従業員達は自律的に動いていけるチームの特性を持つ。
(2) チームのタイプ
?a 問題解決型チーム・・・1980年代からポピュラーになったクオリティ・コントロール・サークルが代表例である。ある問題に対して、互いに解決案を考え、提案するもので、単独でそれを実施する権限は通常与えられない。
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b 自己管理型チーム・・・メンバーは上司が負っていた責任を引き継ぎ、メンバーの選択、計画立案、実行、メンバーの評価までを行うこともある。
c 機能横断型チーム・・・異なる業務分野の出身者が集まり、あるタスクを達成するために集まる。
? (3) チームのメンバー
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チームには以下のようなメンバーが必要とされる。
a 専門家・・・技術的専門スキルを持つメンバー。シェフの小池や山村のようなメンバー。
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b 問題解決者・・・問題解決と意思決定をできる能力を持つメンバー。面川の役回り。
c 対人的調整者・・・チームの中を調整し、協働しやすいようマネジメントするメンバー。面川とメンバーの間に入るべき人間で、本来なら若月の仕事。それを小池が行っている。
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(4) チーム・マネジメントのポイント
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a 役割の割り当てと多様性の促進・・・チームには様々な役割をこなせる多様なメンバーが必要である。その意味では八ヶ岳高原ホテルは多様なメンバーがいる。
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b 共通目的に対するコミットメントの共有・・・目的を共有し、その目的をメンバーが必ず達成する責任感を持つ必要がある。最初、ホテルのメンバーはバラバラだったが、ホテルを黒字化するという目的を共有でき、それを責任を持って達成する意識がチームの中に生まれていた。
c 具体的な目標設定・・・目標は達成するために、より具体的な方がメンバーに理解されやすい。
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d リーダーシップと構造・・・チームの中で目的の共有や、目的に対する調整と、メンバーの動機づけするリーダーシップや、システムという構造が必要になる。
e ぶら下がりの排除と達成責任の自覚・・・チームの中で他者の成果に依存するぶら下がりを排除し、各自がチームの達成責任を自覚しなければならない。
f 適切な評価と報酬・・・個々人の評価とそれに対する報酬だけではなく、チーム全体への評価と報酬の制度を持ち、チームワークを醸成する。
g 高い相互信頼を育む・・・少人数ゆえに信頼感がないと、チームワークによる相乗効果が生まれにくい。八ヶ岳高原ホテルも、従業員間、面川と従業員の間に信頼関係が生まれたことで、ホテルの業績も高まった。
(5) 変革チームの作り方
会社や組織を改革する場合のチームは、その編成方針で正否が大きく左右される。
a 主力部門の人材で編成しない。
主力部門の人間だけでチーム編成すると、自分の属する部門の利益代表としての調整型の人ばかりになる危険性を持っている。そのため、人材が少なく、リーダー的役割を求められやすい弱小部門の優秀な人材の方が変革する能力がある。
b 素直で従順なメンバーはダメ。不満と批判精神がきっかけになり、危機感と分析力と結びつき、強靱な変革志向になる。
c 変革するメンバーはbで記述したように、不満分子や批判をする人材。そのため、上司受けの良い人は少ないゆえに、上司の評判で選ばない。
d 役割分担を生む多様性を確保する。
変革のチームは時間によって、その状態が変化していく。ポイントになるのは踊り場。この踊り場を乗り切るのは、リーダーシップ。リーダーの役割を持つ人が出現すれば、議論の方向が明確になり、その後の役割分担も決まっていく。そうでなければ、議論は課題の列挙などから進まず、非定型的意思決定で課題の列強より難しい、どう解決していくかなどの発展的議論ができなくなる。
e 変革チームのメンバーのパーソナリティ
タイプとしては論理的かつ柔軟な変革アイディアを提起する企画型、変革の戦略を決めてコミットすることを周囲に約束するリーダー型、現場に変革プランを落とし込むマネジャー型、変革の原理原則を守って厳しい変革の実行を引き受ける保守型、こうしたタイプが揃って変革は成功する。
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