この節はJ・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」の議論をベースにしている。コリンズは好調な経営業績を長期間持続している企業は、優れたビジョンを持ち、維持していると指摘した。
(2) 組織志向
a 1人の優れたカリスマ的リーダーはいらない
1人の優れたリーダーが長期間の繁栄を作り上げることは難しい。優れたリーダーは長期の反映の基盤になるビジョンや遺伝子(組織文化)を創ることが重要。最近、GEの名CEO(最高経営責任者)と言われたJ・ウェルチの経営も批判されている。カリスマリーダーによる経営は短期的に評価されても、長期的に疑問をつけられることも少なくない。そこで、
b 優れたビジョンを持ち発展していく組織を作る重要性
ビジョンは組織の将来像ゆえにビジョン自体の優秀さと、そのビジョンを掲げ、達成しようとする組織のドライビングフォースになるようにすることが重要である。
(3) Visionary Companyの議論
a 現実的な理想主義
高尚な理想を掲げる一方、それがいつかは実現できるものでなくてはならない。
b 基本理念を維持し、進歩を促す
基本理念を崩さす、しかし、理念自体も進化させ、組織もそれに応じて進化していく関係を創造する。
c カルトのような組織文化
ビジョン、理念、使命への強い求心力を生み出し、メンバーの高い貢献意欲を引き出し、メンバー間のスムーズなコミュニケーションが得られる組織文化。ただし、組織は外部環境との相互作用が生存において重要な要因ゆえに、外向きの組織文化である必要がある。
d 多産多死の仕組み
優れたビジョンを生み出すため、多くのビジョンが変異的に生まれ、優れたビジョンだけが生き残るように淘汰が行われ、優れたビジョンだけが保持される。
e 遺伝子を受け継ぐ
優れたビジョンと優れたビジョンの創造が遺伝子のように引き継がれる。
f 基本的価値観を組織内部から見つける
この項目に関しては、Visionary Companyの作者であるColinsの考えとは多少異なる。組織内部から優れた基本価値を見つける姿勢は重要であるが、組織生き残りのための多様性を確保するため、外部の優れた基本価値を取り込むことでビジョンの進化を促すことも重要であると考える。