第10回 「組織を活かすリーダー」
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1.第6話
(1) あらすじ
上村からもらった社長直訴のチャンスを北野は駅伝チーム存続陳情に使ってしまう。北野に恩義を感じた駅伝チームはハンパ課のシンデレラを履いて駅伝へ出場してくれると言った。しかし、二階堂は常務からハンパ課廃止の引導を渡される。
ハンパ課と駅伝チームの夢が一つになり、協力し合う。一方、稲葉は社長から会社創立記念パーティーに稲葉が提案するシンデレラをお披露目しろと言われ、稲葉は北野へ試作品を製作できる林田社長の紹介を頼む。そんなとき、北野の恩義に応えようとした駅伝部員の広瀬が怪我をする。

(2) ドラマのポイント
A なぜ、ハンパ課の課員達は駅伝チームを支援する気になったのか。
自分たちの夢であるシンデレラを応援してくれることになって、お互いの夢を共有できることになったから。

B 北野はなぜ稲葉を助けるのか?
稲葉を助けることが、北野の信念、「他人の幸せが私自身の幸せであること」に適合するから。

C 利用できるものは利用する稲葉の考え方と、まず他人も尊重して自分の夢を実現しようとする北野の考え方、に対して貴方はどう考えるか?
ビジネスの世界においては稲葉のような人間の方が向いている。

D 個人の夢を会社の目的に合わすのか、個人の夢を実現するのが会社なのか?
会社へ入社するということは、給与などの対価と引き替えに会社の目的に対して個人が協力すると言うこと。そのため、個人の夢より会社の目的が優先される。しかし、個人の夢を軽視することは個人の会社貢献意欲を低下させることになるため、会社は個人の夢をできるだけ会社の目的に近づけるような働きかけをした方がよい。

2.リーダーシップとは何か?
(1) リーダーシップとは?
a リーダーシップとは
リーダーに必要とされる、組織の目標を設定すること、組織のメンバーをまとめること、組織の目標を達成すること、などの能力。先天的に得られる能力と、研修などで開発される能力がある。

b リーダーシップの由来
リーダーシップは上司といった組織の中の役割から生じるものと、カリスマ性といった個人の能力から生じるものがある。

(2) リーダーの資質論
a カリスマ型リーダーシップ
人を引っ張っていく力を非常に強く持っている人。先天的なパーソナリティによる部分が大きいが、金日成のように啓蒙や暗示などでカリスマ性を作り上げることも可能である。

b 変革型リーダーシップ
組織を変えていくリーダーシップは、変化を恐れないという持って生まれた資質と、経験から会得できる資質がある。

(3) リーダーシップとパーソナリティ
a リーダーシップはリーダーのパーソナリティによって決まるという考え方を前提にする。確かに人間の持つパーソナリティはリーダーシップのスタイルへ大きく影響を与える。

b 専制型=リーダーが中心になって物事を決め、トップダウン方式でその意思決定を実行させる。迅速な意思決定と実行が可能だが、メンバーが反発したり、仕事への疎外感を持つ危険もある。

c 民主型=組織のメンバーで合議し、意思決定を行う。合議の上での決定ゆえに、メンバーは納得して実行できるが、意思決定までの時間がかかる。また、意思決定の過程への参加で、学習したり、動機づけになるメリットもある。

d 放任型=リーダーが部下へ権限を委譲し、やりたいようにやらせる。自主決定が出来る部下の動機づけは大きいが、反面、部下の意思決定をコントロールでず、適切な意思決定と実行がなされない危険性もある。

(4) リーダーシップの方向性
a リーダーの持つ関心は、大きく分けて仕事面と人間面に分かれる。

b 仕事重視(体制づくり・生産性向上)=初期の二階堂のやり方

c 人間重視(人間関係・個人への関心)=北野のやり方

(5) 環境適応型リーダーシップ論
a リーダーシップのスタイルは、相手、状況に応じて変えるべきと言う考え方。状況に合わないリーダーシップのスタイルを持つリーダーの場合、リーダーが交代することも考える。

a 相手の成熟度と仕事への意欲によってリーダーシップのスタイルを変える。

b 緊急性、意思決定の重要性の程度など、組織が置かれた状況に応じてリーダーシップのスタイルを変える。

c 組織の中でリーダーを1つの役割と考え、その状況に応じてリーダーシップの代替が行われる。例えば、サッカーの試合で、攻撃時には中盤の司令塔がリーダーシップを取り、守備時にはゴールキーパーがリーダーシップを取る。
d 環境適応型リーダーシップのモデルでは「ハーシー&ブランチャード」のモデルが有力。



(6) リーダーシップの有効性
a リーダーシップは以下の3つの要素が満たされると、もっともうまく機能する。
b リーダーが正当性を持つこと。
c リーダーシップの内容が合理性を持つこと。
d リーダーが信頼されていること。

3.会社と個人の夢
(1) 会社は何のために存在するのか?
a 経済活動目的の協働体であり、この本質が会社を規定する。

b 会社の目的があって人が集められる。その結果、会社の目的に合致する、貢献できる人が入社する。

(2) 会社の目的と個人の夢
a 理想の状態は会社の目的=個人の目的(夢)の状態である。こうした場合、動機づけなどもあまり必要なく、社員は意欲を持って働く。

b 現実の状態:会社の目的≠個人の目的(夢)
このような状態であると、会社は社員に動機づけを行って会社の目標達成のために働かせなくてはならなくなる。例えば、個人の目的を仕事で部分的に達成できるようにしたり、洗脳して会社の目的を個人の目的にすり替える。

(3) 会社で個人の夢を実現するには
a 会社選びにこだわって、個人の目的に近い目的や内容を持つ会社を選ぶと社員はストレスが溜まりにくい。

b 会社の目的と個人の目的のギャップを解消し、会社の目的を達成することが個人の夢の実現と重なるようにしてやる。例えば、海外で生活したいという夢を持った社員を海外に駐在させるなど。

〜信頼と誠実の経営〜