第4回 「会社の組織と機能」
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1.第4話
@ あらすじ
販売促進8課をリストラしたい常務取締役から、新製品企画の課題を与えられ、3日で新製品を考え出せなければリストラされることになった。北野は初仕事で張り切る。
二階堂のやり方に反発していた部下もやる気を出して、企画案を考える。北野は美紀の言葉から、インパクトのある製品企画を発案し、ハンパ課全員で一丸となって企画をまとめるが…

D ドラマのポイント
A リストラってなに?
restructuringから生まれた外来語の短縮型で、事業の再構築という意味。そもそも複数の事業を行っている企業が、儲からない事業を止めて、既存の儲かっている事業へ集中したり、新しい儲かる事業を生み出すことである。ところがマスコミがわかりやすく、事業の中止=人員削減としたため、リストラが人員削減のようにとらえられている。リストラの仕方によっては、人員削減をせず、配置転換ですむこともある。

B 「俺がすることは俺が見ている」ってどういう意味?
自分自身で良いと思わないこと、満足できないことに安住しようとしても、良心がそれを許さないということ。

C なぜ二階堂へなぜ部下が反発したのか?
二階堂がハンパ課へやって来たとき、この課から抜け出ることしか考えていないと言い、ハンパ課を他の社員と同様に会社のお荷物と見ていた。そんな上司に対して部下はどう思うか?当然、部下達は二階堂に対して反感を持っている。それがリストラを免れるために企画を出せ、と急に部下へ仕事を与えても信頼関係がないから部下は言うことをきかない。しかし、リストラされたくないことと、上司の命令なので徹夜でなんとか仕事を仕上げた。それをばっさりとダメと切り捨ててしまえば、部下はカチンとくる。加えて二階堂は部下を信頼せず、と一人で仕事をやっているので、部下は手伝う気はまったくない。二階堂は部下をうまく使いこなすためには、どうしたら良かったのか。まず、二階堂が部下の将来も考えて、ハンパ課全体をどうしたいのかを示す。次に1人1人の部下を理解するため、コミュニケーションを取る。部下に対して指示をし、仕事をしやすい環境を作って上げる。できあがった仕事に対して厳しい評価も必要だが、よりよい企画にするためのアドバイスをし、仕事のフォローをする。そうしたことが、部下が二階堂を信頼し、動機づけにつながっていくことになる。

D なぜハンパ課全員が一丸になって仕事をするようになったのか?
自分たちはやけ酒を飲んでいる間も北野が懸命に働いている姿を見て、ハンパ課員は感情的な反発と失ったプライドから自棄になっている自分の今の姿を恥じ、また、上村からも自分のために頑張ることがどこが悪いと諭された。そして、北野の姿にかって自分たちも懸命に仕事をしていた頃のやりがいを思い出した。会社へ戻ると、二階堂が自分たちの昔の企画案を参考にし、新しい企画を考えているのを見て、二階堂は自分たちを見下していない、今の仕事には満足していないが、かって自分たちが懸命に働いていた頃の仕事を認めてくれている。それによって仕事のやる気に火がついた。そして、二階堂と酒を飲みながら、本音でのコミュニケーションを取る中で、新しい企画の構想が膨らんでいき、プロとして良い企画をまとめたいという気持ちへ変わっていった。二階堂も的確な指示を課員へ与え、ハンパ課が組織として機能するようになった。

E ハンパ課における北野の役割は?
組織の潤滑油、触媒のような役割。北野は課員の過去に行った企画を見つけ、二階堂へ参考にするよう薦める。課員達のやけ酒に付き合いながら、自らの価値観で感化していく。北野が新入社員だから課員たちも本音でつきあえ、一方、二階堂に対しては上司として接することができるため、うまく両者の仲を取り持てる。こうした、人間が一人いるだけで、小さな組織はうまく機能することも多い。

F 「俺前だけ見て走っています」、北野はどんな心構えで仕事をしているのか?
前向きに仕事をしているという意味だが、社会人としては過去の自分の仕事ぶりを分析し、次の仕事へ活かすことも重要である。
2.会社の組織
(1) 組織の意味
A 1人だけではできないことを複数の人の力で達成するための場である。
B 複数の人で役割分担をして適材適所で仕事を行う場である。

(2) 組織の必要要素
A 共通目的・・・組織として何を行うのか。これは個人が持っている組織参加の目的とは異なるもの。
B 貢献意欲・・・自分の為だけではなく、他人、そして自分も含めた組織全体のために働く意欲。
C コミュニケーション・・・仕事を複数の人で行うためには、調整が必要で、そのためはコミュニケーションが不可欠。

(3) 組織の細分化
A 組織は大きくなると管理できる範囲を超えてしまい、管理が困難になる。そのため、権限の範囲や仕事の内容で組織を細分化している。
B 権限の大きさで組織を細分化・・・部課制。会社の中を部で細分化し、さらに部の中で課、課の中で係と細分化していく。組織が小さくなればなるほど、権限は小さく、行う仕事の幅も狭くなる。
C 仕事の内容で細分化・・・機能別組織。主に単一や少数の事業しか持たない会社で採用されたり、集権的に仕事を行いたい会社で採用されている。会社の中の仕事(機能)で細分化されている。



D 事業ごとに細分化する・・・事業部制組織。事業部とは製品群別、地域別、顧客別などで、1つの会社と同じような機能を持つ存在である。複数事業をもって、分権的に経営を行いたい企業で採用されている。



3.会社の職位と仕事
(1) 会社の職位
A 経営者層(社長、副社長、取締役)
会社を経営していく人々で、商法上、取締役(役員)という肩書きを持つ人々。この人たちは一般社員とは異なり、会社の被雇用者ではない。
B 管理者層(取締役の肩書きがない部長、課長)
会社の中の細分化された組織を担当し、管理していく人々。管理者層は会社の被雇用者になる。
C 一般社員層(係長、平社員)
会社の職位では下の階層に属し、管理者の下で働く。
D 上の職位へ行けば行くほど、仕事の権限、義務、責任が重くなり、報酬は高くなる。

(2) 取締役とは何?
A 株主から経営を委託され、会社の経営権限、義務、責任を負う人々。
B 株主から任命される。
C 代表取締役、専務取締役、常務取締役、取締役と取締役の中でも権限の大きさに伴って序列がある。会社の職位とほぼ一致、会社の経営に責任を持つ経営者層である。代表取締役は文字通り会社を代表して意思決定を行える人。
D 監査役・・・株主の利益にかなった経営を取締役が行っているかどうかをチェックする人。身内によるチェックとなる日本企業ではあまり機能していない。
E 社内取締役と社外取締役・・・その会社の従業員の中から選ばれた取締役を社内取締役という。身内による経営の弊害から、最近では米国企業のように、会社の外から取締役を選ぶ、社外取締役を導入している企業もでてきている。

(3) 取締役会
会社経営の最高意思決定機関。議長は通常、代表取締役が行う。大企業で取締役の人数が多いと、常務取締役会が最高意思決定機関として機能することもある。

4.会社は誰のもの
(1) 会社は誰が所有しているのか?
株式会社の概念では株主が会社の所有者である。こうした意識が徹底している米国では所有者である株主を中心とした経営体制になっている。日本では会社の中心は社員であり、社員の中から選ばれた人間が経営を行っていく体制である。

(2) 欧米型経営統治
A 株主統治・・・株主の利益代表が会社の経営をコントロールする体制である。
B 株主の利益重視・・・会社の所有者が優先された経営を行う。しかし、最近では極端な株主重視、他の利害関係者(社員、顧客、地域社会等)を軽視した経営は行われなくなってきている。
C 問題点としては株主の短期的利益を追い求めすぎ、それが会社の長期的成長を阻害したり、社員のやる気を阻害したり、社会との摩擦を起こしたりすることもある。

(3) 日本型経営統治
A 社員統治・・・社員出身の社長や取締役が経営をコントロールする経営体制。
B 社員の利益重視・・・社員の利益を第一に経営を行っている。例えば、会社が赤字でも人員削減をしないなど。しかし、最近では日本企業も米国的になり、人員削減など社員の利益に反することも、株主や他の社員のために行っていくようになっている。
C 問題点としては課bぬしの利益が軽視されることだが、企業間の株式持ち合いの解消から物言う投資家が増えたこと、会社の株価が資金調達のコストへ影響すること、社員の雇用を第一に考えた会社内の不祥事が多いことから、株主利益重視の方へ多少是正されてきている。

〜信頼と誠実の経営〜