第1回 「社会人になるということ」 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 9話 10話 11話 12話 |
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1.第1話 | ||
@ この授業のコンセプト 日本企業が成長していた時期は、日本企業は社員に対してコミットメントを求める一方、社員に対する家族的意識を持って処遇してきた。しかしながら、不況期に入り、企業は生き残るためにリストラを行い、聖域と言われていた雇用の削減までを行うようになった。その処理に失敗した企業は、企業内に人間不信や企業への不信が生じ、従業員の大きなモラルダウンをもたらした。企業が複数の人間による協働システムなので、組織を構成するメンバーの不信は企業内に負の循環を生じさせ、経営成果に対してネガティブな影響を与える。企業内の負のパワーは社会にも影響を及ぼし、結局、社会全体が負の循環が始まる。こうした状況は望ましくないことは言うまでもない。そこで、この講義では周囲の人を変え、会社内を信頼と誠実の輪でむすびつけたいいひと、北野優二を題材に信頼と誠実をキーワードに会社や仕事を考えてみたい。 A ドラマの背景 ビックコミックスピリッツに連載されていた高橋しんの「いいひと。」を原案にして、1997年に関西テレビで制作された。主演は草なぎ剛(SMAP)。北海道の江別市に住む北野優二は大学の駅伝ランナーであったが、自分の作るシューズをみんなに履いてもらいたいという夢から、東京のLIGHTEX社へ就職を希望する。彼の人柄が幸運をもたらし、LIGHTEX社へ入社するが、他人の幸せが自分の幸せであるという、お人好しの信念を掲げ、行動していくため、LIGHTEX社の中で様々な騒動を起こす。しかし、そんな北野の考えや行動に共感していく人が増え、会社が変わっていくという寓話である。 B 登場人物 北野優二:周りの人たちの幸せは自分の幸せという信念を持つ、大学卒業したてのいいひと。 桜妙子:優二の恋人 二階堂千絵:優二の上司のキャリアウーマン。販売促進8課(通称ハンパ課)へ左遷された。 城山清七郎:ライテックス社人事部長。北野を下宿させている。 稲葉:北野を目の敵にするエリートの先輩。 上村:企業のイメージ向上のために採用されたエリートランナー。北野と同期入社。 C あらすじ 北都大学4年生の北野優二は、自分の夢を実現するためスポーツ用品メーカーのLIGHTEX社へ就職するべく、江別から東京へやって来る。しかし、人の良さから困っている人たちを助けてしまい、就職面接に2度遅れる。しかし、偶然が重なり、人事部長の気まぐれもあって合格し、LIGTEXに入社することになった。 D ドラマのポイント A 「尖ったハイヒールほど折れ易いんですよね」とはどういう意味? 二階堂のように絶えず他人や仕事に対して尖っている(攻撃的)と、周りからの重圧や足の引っ張り合い、自らの行動をコントロールできず、折れやすく(挫折する)なるということ。北野の言葉は本人が意識しているかどうかは別として、深い意味を持っていることが多い。 B なぜ二階堂主任は販売促進8課への人事異動を受け入れたのか? 北野に「主任さんはどこへ行っても主任さんでしょ」と言われ、自分さえ見失わなければ、どこでも自分の仕事が出来ると考えを改めた。会社で働いていると人事異動はつきものであるが、いつも自分の希望通りの配属が決まるわけではない。そんなときに腐らず、自分のやりたいことはどこの部署でも見つけられ、自分の力を発揮できると前向きにとらえられる人のほうが成長すると思う。 C 社長はなぜ北野の入社の挨拶に怒ったのか? この社長はかなりワンマンな独裁的リーダーシップを取る人のようだ。そのため、社長の言った言葉は社内では絶対であり、社内の隅々まで浸透しなくてはならないと考える。それが新人社員に自分の考え全く反対のことを言われたので、怒った。 D 君は社長の挨拶と北野の挨拶のどちらに共感したか? 会社の利益を24時間考えろ、夢を持つな、古い売れない商品を切り捨てて新しい売れる商品を作れ、というのは利益を追求する会社のトップは誰しも多かれ少なかれ思っているだろう。もっとも、この社長のように極端なことは言わないだろうが。しかし、社員の動機づけの視点からはこうした考え方では限界がある。社員の夢と会社の利益を結びつけ、古かろうが新しかろうが顧客満足を高める商品を提供することが、結果として、会社と社員を共に栄えさせる |
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2.就職活動 | ||
@ 日本企業の採用方法 A 新卒採用・・・学校を卒業する学生を対象に採用する方法。多くは学校の年度に合わせて4月に入社することになる。 B 中途採用・・・一度社会に出て仕事を経験した転職者や、再就職者を採用する場合。最近では新卒者採用者の約1/3が3年以内に離職し、第2新卒という言葉も生まれている。 A 最近の就職状況 A 不景気により企業側に即戦力になりにくい新卒者の採用を手控える傾向が出てきている。 B 40歳以上の経験者の中途採用も、転職者の希望する給与の高さがネックになり、厳しい。 C 求人側と求職者側のミスマッチ。専門スキルを持つ人材や営業力のある人材は求人が多いものの、そうした人材は少ない。 B 増える新卒未就職者 A 大卒で就職者の割合が8割程度で、卒業後は正社員ではなくアルバイトで生活する若者が増えている。 B 問題点としては個人に関して生活が安定しない、生涯賃金が低くなる、習得すべきスキルを若い時代に習得しにくいなどである。一方、社会的には税収や各種保険料の支払い者が少なくなる、高度なスキルを持たない若者が増える、などの問題が生じる。 C 解決方法としてはインターンシップなどで大学時代に就職への意識を高めると共に、国の助成で未就職者を企業でインターンシップさせ、スキルを習得させて就職させるなどしている。 D 新卒未就職者が出てくるのは、本人の就職意欲の低さや就職先への拘りといったこともあるため、就職しなくても生活していける現状では解消はなかなか困難であろう。 C 就職活動の手順 Step1 就職情報誌で希望業界や企業の情報収集 Step2 資料請求やエントリーシート送付 Step3 会社説明会への出席(3月くらいから) Step4 適性試験 Step5 面接試験 Step6 内定(5月頃から非公式な内定が出て、10月1日に正式内定が出る) Step7 入社(翌年4月1日) |
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3.就職出来る人、出来ない人 | ||
@ 情報を収集し、こまめに行動できる人 就職活動のピーク期である5〜6月に採用情報は多く出てくる。そうした情報をチェックし、迅速に行動へ移せる人でないとダメ。 A 就職活動の流れに乗って活動できる人 就職活動の時期的流れはある程度の決まっており、いろいろ理由をつけてその流れに乗らない人は企業の採用活動に合わないため、内定をなかなかもらえない。 B 成績の良さよりも、明るく、バイタリティと意欲のある人 会社は新卒採用に即戦力を期待しているわけではないので、成績が良くても暗かったり、意欲のない人よりは、成績が悪くても明るくて、バイタリティがあり、やる気満々の雰囲気の人が好まれる。 C 潜在性を感じさせる人 Bと同じ理由で、今の君より将来の能力の大きさを感じられる人が好まれる。 D 会社の求める人材像に合わせて自分をアピールできる人 会社によって採用したい人材像は異なる。例えば、銀行とファッション業界では採用基準が異なるし、同じ業界でも会社によって異なる。そのあたりの情報を把握し、うまく会社の欲しい人材になりきってアピールする演技力が必要。 E 諦めない人 就職活動で失敗し続けると、自分の全人格を否定された気になり、かなり落ち込む。しかし、たかが1回の面接や試験で君を評価なんか出来るわけがない。くじけず、諦めないで就職活動をしていれば、きっと内定が出る。 |
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4.会社の求める人材 | ||
@会社は何を目的に存在しているのか? 会社は社員が働き、利益を出すことで存続できる。そのあたりを認識しつつ、自分の夢や生き方と折り合いをつけられる人材が好まれる。 A会社の役割 仕事という機能で結びついた組織であるから、会社の仕事に関心があり、貢献できる人材が望まれる。 B社長の役割と影響力 会社において社長は最高権力者(例外もある)。武富士のように社長の鶴の一声で人事が決まるところもある。 C会社で働く人たちの種類 株主の代表で、会社を経営する側の役員と、その配下で働く雇用者である社員に分かれる。社員の中で、それぞれ課長とか係長といった社員を管理する社員がいる。 D社員は何を社長に期待されるのか? 会社の利益に貢献し、将来会社を担っていく人材。 E新入社員を何を基準に選抜するのか? A 会社に貢献できそうか B 会社の持つ経営理念や組織文化に適応できるか C 一緒に働くことが出来るかなど。 F人事部って何するところ? A 人の採用 B 社員の評価の集計 C 会社内における人材の配置案作成 D 人材の研修 |
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5.就職活動で陥る罠 | ||
@就職率80%の罠 公務員や教員志望、就職活動の登録をしていない学生は就職内定率の母数に入らない。全学生を母数にすれば、就職内定率はもっと低い。 A大企業、有名企業志向 就職活動をする際、就職のための情報を良く集めていないと大企業や有名企業だけを希望する事になってしまう。もちろん、理由があって大企業や有名企業になっているのだから、待遇や経営は安定していて人気があって当然。そうなると入社するのが難しい。よほど自分に自信がない限り、中小企業や有名でない企業も就職活動で回ってみよう。君にとって良い会社が思いがけず見つかることも多いよ。 B特定業界へ拘りすぎ 広告業界以外には行きたくない、など就職に拘りをもって当然だが、もう少し視野を拡げてみよう。広告代理店でも経理の仕事に回されるかも知れないし、メーカーでも広告関連の部署で仕事ができるかもしれない。あまり特定の人気業界に拘っていると、就職活動も厳しくなる。 C就職への準備不足・研究不足 面接の時は会社のことは必ず聞かれるので、最低限、受けている会社の基本情報は押さえておこう。 D本当にフリーターで良いのか? 就職内定がでないからといって、安易にフリーターにならない方が良い。後で挽回するのがかなり苦労する。今にして思えば、新卒で就職したときが一番条件が良かった。 |
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