第5回 「製品の開発」
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1.第5話
@ あらすじ
ハンパ課が一丸になって作り上げた製品企画は採用されたが、1ヶ月で製品化を求められ、できなければ課は解散。ハンパ課の社員たちは不可能だと思うが、北野はやる気まんまん。
しかし、リストラ目的でハンパ課に始めさせたプロジェクトゆえに社内の反応は冷ややか。二階堂は試作品製作をしてくれる工場探しに関して、部下へ嘘を言ってしまい、追い込まれていく。北野は「その嘘、ほんとにしましょう」と二階堂と工場探しに行くが…

A ドラマのポイント
A 「サラリーマンは長い間耐えていればやがて(歩が)金になる」
城下部長の言葉。地道に耐えて、努力していれば、出世していくという意味。

B 稲葉はハンパ課を潰そうとしながら、二階堂に試作品を作ってくれそうな工場を教えたのか?どうして矛盾した言動を取っているのか?
稲葉は二階堂の恋人だから、恋人が困っているのを見て、上司の意向に反してつい教えてしまった。
稲葉は工場を教えたところで二階堂たちではできないとも思っているから教えたのかも知れない。

C 試作品の段取りに関して順調に進んでいると部下に言った二階堂の気持ちは?
部下が順調に仕事を進めているのに、自分はうまく行っていないということは、上司の立場や今までの経緯から言えなかった。
二階堂は自分でなんでもやってしまおうとする性格だったのも、こうした見栄を助長したのかも知れない。

D 山下の仕事の仕方のどこが悪かったか?なぜ、上村に嘘をついてまで説得しようとしたのか?
交渉においては駆け引きは重要だが、嘘はまずい。
嘘がばれたときのことを考えるとリスクが高い。
そうしたリスクを負ったのは、山下の軽率な性格もあるのだが、ハンパ課で唯一成果をあげていない自分の存在意義を示したい気持ちも強かったのであろう。

E 工場の林田社長との会談より山下を選んだは課長の対応としてどう考えるか。
二階堂は当初、林田社長との会談を優先させようとした。
普通のビジネスパーソンであれば、そうした判断をするであろう。
しかし、仲間である山下を優先しようとする北野の考えに対して、押し切られるように山下を説得しに行った。その背景には、北野のこれまでの行動と結果から二階堂は今までのやり方、すなわち仕事を重視するのではなく、チームのメンバーを大切にしながら仕事を進めるという異なった価値観を受け入れるようになったと思われる。

2.製品ができるまで
(1) 製品化から販売までの流れ
製品企画→製品開発→生産計画→販売計画→試作→テストマーケティング→販売

(2) 製品企画
Step1 アイディア収集(ニーズ発想・シーズ発想・他社の真似)
Step2 アイディアの評価
Step3 具体的な製品コンセプト(名前・効用・用途・仕様・対象顧客・価格・販売チャネル等)の立案
Step4 コンセプトに沿った製品を設計

・ニーズ発想→消費者の不満や不平から生み出す
・シーズ発想→自社の技術から生み出す
・他者の真似→ベンチマーキング
・発想方法→個人型vs集団型、分解型(ステレオ→ラジカセ)vs統合型(テレビデオ)
・アイディアの評価→市場からの必要性、発想のユニークさ、事業化への難易度

(3) 製品設計(デザイン)
機能によるデザイン→基本的効用確保
ファッションによるデザイン→ブランド確立

・機能的デザイン→ディスプレイ+ボディー+キーボード
・ファッション的デザイン→感覚的に好ましいデザイン+他製品との区別
・ブランド=他企業製品との識別をもたらす名前、デザイン、ロゴ

(4) 製品設計の内容
a コンセプトに基づく仕様の最終決定
b 外見・配置のデザイン
c 材質・部品の選択
d 原価(コストとの兼ね合い)計算
e デザインのリサーチ
f 製品としての機能・安全性・耐久性の確認

・仕様=大きさ、重さ、性能、機能
・外見・配置=外見は見た目が重要+機能性+部品の配置との両立
・材質の選択=仕様にあったもの+製品に独自性をもたらすもの
・原価=原価の目標設定→VE
・リサーチ=デザインの好感度を測定
・実験=シミュレーション・テスト

(5) サンプル(試作品)の製作
a 製品コンセプトを実物にしてみる→3次元化することで評価しやすく、プレゼンテーションもしやすくなる。
b 試作品のテスト→仕様通りの性能か、イメージ通りのデザインか

・サンプルによってビジュアル化し、コンセプトとの差異を調べる。色やデザインによってはデザイナーの意図した形にならないこともある。生産上の問題や生産コストも正確にわかる。
・試作品のテスト→実地テスト(機能・性能・耐久性・新しい使い方)

(6) 生産工場と工程の設計と確保
a 試作品の生産
b 生産計画に合わせた生産工程の確保
c テスト生産

・試作品を生産してみて量産化のチェック+コストエンジニアリング
・もっとも効率的な生産工程の設計と、設備の導入、確保
・テストで量産生産してみる→問題点の洗い出しと改善

(7) 原材料の調達
a 効率の良い生産のための原材料選択
b 調達先の選定

・効率の良い生産が出来る原材料の選択も
・効率の良い原材料調達プロセス設計と調達先を選ぶ
3.ヒットする製品の企画
(1) 製品企画=製品のコンセプト作り(5W3H)→誰が作るか、何を作るか、なぜ作るのか、何から作るか、誰に売るのか、どうやって作るか、いくらで売るのか、いかに売るのか?

・誰が作るのか→自社工場、委託工場(国内・海外)=ライテックス
・製品→名前・効用等=おしゃれな素材の高性能シューズシンデレラ
・なぜ作るのか→ビジネスチャンスは何か?=ファッション&エコロジー
・何から作るのか→原材料の明確化=ペットボトルのリサイクル
・誰に売るのか→市場の明確化=スポーティーファッションを好む若者
・どうやって作るのか?→製法・工法・特許=?
・いくらで売るのか→価格戦略=?
・どうやって売るのか→使用チャネル・宣伝方法・販売促進方法

(2) 顧客のニーズ(必要性)やウォンツ(欲求)を満たすコンセプトであるか

A 消費者は製品を購入するのではない。そこから得られる効用を購入するのである。
B 顕在化していないニーズやウォンツを顕在化させる製品を発売することで大ヒットにつながる。
C 生産者側の独りよがりにならない

(3) 製品にあった売り方をする
A 顧客ターゲットは適切か
B 広告や販売促進は適切か
C 販売経路は適切か

(4) 上手な企画売り込み
A 良い企画でもプレゼンテーションの不出来で採用されないことも
B 企画の最終決定者(キーパーソン)を考慮した売り込み

〜信頼と誠実の経営〜