第2回 「優秀な営業マンとは?」
 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 9話 10話 11話 12話
1.第1話
(1) あらすじ
城山部長は自分のミスから、北野を居候させることになった。北野に親切にされた家族は北野を大歓迎。
LIGHTEXに入社した北野は新人研修を受ける。研修は販売実習で、型遅れになったシューズ「ロードランドU」を売ってくる厳しいもの。しかも、それで配属先が決まる。北野は自らそのシューズを購入し、履き心地を調査。他の新入社員に後れをとる。北野は果たしてシューズを売ることができるか?

(2) ドラマのポイント
A まず自分でシューズを履いて商品を確かめた北野の販売のやり方をどう考えるか?
商品・サービスを販売する場合、販売する側は豊富な商品知識を持たなければ、顧客の質問には答えられない。それもカタログに書かれている内容だけでなく、カタログに書かれていないような実際の使用感なども聞かれるかも知れない。そういう自体を想定すれば、販売者が使用した経験を持ち、使用者の視点から説明できた方がその言葉に説得力を持つ。そのため、実際にシューズを購入して、1日使用しての実体験をした北野のやり方は的を射ている。

B 自分の納得がいくものしか宣伝したくないという上村の会社に対する意識をどう考えるか?
会社がどうして上村に給与を支払い、雇用しているのかを上村は理解していない。しかし、宣伝や販売に当たって自分が自信を持って薦められないものを売るのはつらいし、顧客の不信を買う懸念もある。そうであるならば、まず、自分で試して長所と短所を把握して、その長所が活かされ、短所があまり気にならない顧客を選び、そうした顧客へ広告する、販売することを考えるのが社員の務めであろう。

C セールストークで長所と短所を言うのはどんな意味があるのか?
長所だけ言って顧客に購入を促すのは良心的なやり方とは言いにくい。顧客が短所を知らないまま購入し、短所を認識したときには不満足感が認識して購入したときより高くなる。そこで、顧客に納得して購入し、商品に満足してもらうためには、短所も言わざるを得ない。そのため、短所があまり気にならないような顧客を選んで販売することが重要である。顧客の心理からすれば長所だけをいう販売員より、短所を言ってくれる販売員の方が安心でき、信頼感を持てるということもある。ただし、セールストーク術としては短所が印象として顧客に残らないよう、短所を先に述べ、それを補ってあまりある長所がある、という順番で言うことが良い。

D 北野が実績を挙げた理由は?
・北野の親切から陸上部の顧問の先生という学生へ影響力のある人と知り合い、関心を持ってもらえた。その結果、39足という大量に購入してもらえた。
・北野の対価を求めない親切心、長所と短所を言う正直さ、北野のシューズに対する的確な分析力と愛情、良いシューズを履いてもらいたいという熱意、そうしたことで顧客が北野を信頼してくれた。
・上村が「北野は研修でシューズを売っている。北野は短所を言うほど正直すぎる」と北野をフォローしたと推測できる。陸上界のスターである上村のフォローも陸上部の先生の北野に対する信頼感を強化したと考える。

E 上村の気持ちはなぜ変わったのか?
自分の信念を貫きながらも、会社から与えられた目的を達成させた北野を見て、自分の仕事に対する自己本位の姿勢を、自分のやり方で会社を納得させる実績を挙げるようにしようと考え直した。

F 二階堂が言った「評価の仕方は1つ」はどういう意味か?
北野は確かに39足を売ったが、締め切り時間を過ぎたので評価は0足である。会社の人事考課は多様な社員の個性、多様な仕事の過程と成果を多面的に評価できない。そこで、ある尺度で一律に評価せざるを得ず、それが正しいことなのか二階堂も疑問を持ちながらも、自らが左遷されることを納得させるように、二階堂は城下部長に言ったのであろう。
2.新人研修の意味
(1) 社会(会社)人としての意識を醸成する
A 学生と社会人の意識の違い
大きな違いは自らの義務と責任に対する意識。社会人は仕事をして対価を得ているため、仕事における自らの義務と責任に対して敏感であり、達成意識は強い。

B 学生の意識や行動は企業にとって弊害か?
学生の延長上の意識は、仕事への無責任や意欲の欠如につながり弊害と言える。しかしながら、学生の意識で見ると、企業社会の矛盾や欠点が見えてくる。そうした批判的意識は反対に企業を正しい成長をもたらすので、メリットはある。

(2) 会社の仕組みを知る
A 仕事でつながる組織
会社は共通の目的に従って仕事をする場であるため、仕事が最優先されても仕方がない。

B ピラミッド型組織
会社は権力の行使と受容で動かされ、仕事の上での上下関係が生まれる。そして、効率よく多くの社員を共通目的に沿って働かせるため、少数の上司が多くの部下を動かすことになる。そのため、社長を頂点として平社員が底辺とするピラミッド型の組織になる。

C 権限・義務・責任の3等価原則
仕事を行う上で必要に応じて与えられる権力を権限という。社員は地位に応じてふさわしい権限を与えられるが、権限を与えられる一方でそれに伴う義務、その義務を果たす責任が権限と同程度発生する。

(3) 会社の仕事に必要な知識と能力を学ぶ
A OFFJT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング=職場外研修)
会社の仕事に必要な知識と能力を職場と離れた場所で、修得させるやり方。

B OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=職場内研修)
会社の仕事に必要な知識と能力を職場内で、実際に仕事をやりながら修得させるやり方。
3.会社の営業とは
(1) 営業の意味
会社は売上がなければ、費用を補えず存続が出来ない。そのため、商品を販売し、売上をあげなくてはならない。顧客を探し、その顧客へ商品を販売し、販売後のフォローをする一連の人的活動を営業という。

(2) 営業の過程
step1 ターゲット顧客の決定
その商品やサービスの特性から。もっとも価値を感じてくれそうな顧客をターゲットとする。
step2 ターゲット顧客へのアプローチ
ターゲット顧客へのアプローチは宣伝、DMなどによる情報提供、人的働きかけ(電話での案内、店頭での案内、顧客宅への訪問)、サンプルの配布などの販売促進などがある。
step3 顧客のニーズとウォンツを探る
ターゲット顧客へアプローチできたら、その顧客が持っているニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)を対話しながら探り出す。
step4 顧客に合わせた解決策を提供する
ターゲット顧客のニーズとウォンツを充足する自社の商品・サービスの購入を促し、販売する。
step5 販売後のフォロー
販売した後も顧客との接触を欠かさず、顧客の不満を予防し、関連消費や新規商品の機会をうかがう。

(3) 販売とは?
営業の1つの機能に販売がある。これは商品・サービスを顧客が購入するまでの過程で発生する一連の行為である。

(4) 販売員の仕事の流れ
Step1 商品の特性を知る
商品を自信もって薦めるためには、顧客以上の商品知識を持つことである。カタログを読み、いろいろな人の使用意見を聞き、自分でも使用してみるなどが必要である。
Step2 ターゲット顧客を決める
商品のコンセプトや特性から、商品を購入してもっとも価値を感じてくれるような顧客を見つける。そのような顧客は顧客自体も商品に関心を持っていることもあるので、顧客の態度を注視することが重要である。
Step3 効果的に販売する方法、いくらで売るのか、どこで販売するのか、どう消費者の気持ちをとらえるのかを考える
値段や場所に関しては販売員の権限外のこともある。販売員間でもっとも力量の差が出るのは、消費者の気持ちをとらえ、購入まで持っていく方法である。
Step4 販売の実行
販売は契約書の作成、販売前の商品点検、商品の受け渡し、対価の受領などの業務になる。
Step5 結果の検証
販売の結果とその方法を検証し、次回のより良い販売成果へつなげる。

(5) 優れた営業マンの資質
A 目的達成意欲と実行力
会社から与えられた営業目的を達成しようと言う責任感と意欲を持ち、実際に実行できる人。

B コミュニケーション能力
顧客の気持ちを探り、顧客を買う気にさせるにはコミュニケーション能力が大切。

C 顧客に与える信頼感
「商品を売るのではなく、自分を売れ」という言葉が表すように、営業マン自信の魅力や信頼感が顧客の購入行動の決め手になることも多い。
〜信頼と誠実の経営〜