第9回 「リストラ」
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1.第6話
(1) あらすじ
ハンパ課のシンデレラの企画が稲葉のいる営業部企画開発室に盗まれ、発表されてしまう。ハンパ課員はがっかりするが、北野はシンデレラが全社的に認められたと思い込み、喜ぶ。一方、会社はムダを省くため、リストラを行おうとする。駅伝部の解散、ハンパ課は全員クビか依願退職を求められる。北野はハンパ課のシンデレラ企画の復活を目論見、上村の計らいで社長へ直談判しに行き、そして…

(2) ドラマのポイント
A 利益を産まない人間は企業にとって不要という考えをどう思うか?
企業の目標が利益の極大化を目指すだけの存在であるならば、こうした考えは当然かも知れない。しかし、企業の中の様々な仕事で、どれが利益を産む源泉になっているか判断するのは難しい。

B 社長に駅伝チーム復活とハンパ課のシンデレラ企画を認めてもらうためには、どう説得したら良いか?
駅伝チームが会社にとってどのような利益(メリット)をもたらしているかを納得してもらう必要である。
ハンパ課のシンデレラの企画も自分たちの夢という視点ではなく、会社の全員で共有できる夢になることを説得する。

C ライテックス社のリストラの良い点と悪い点を評価し、よりよい方法を考えよ。
駅伝部の解散はやむを得ない。昨今の不況に対して、企業はスポーツ部の廃止を現実にしている。一方、悪い点は、まず人員や費用削減ありきで効率面でしか考えていないこと。そして、不要だからクビにするというやり方だと、社内へ動揺を与え、雰囲気が悪くなる。まず、全社的に経営資源の配置を分析し、費用節減効果と競争力強化をもたらす経営資源の再配置を考える。それでも十分な費用節減効果がなければ、人員削減を考えるべきである。

2.企業の経営戦略
(1) 経営戦略とは?
a 自社の経営資源(人、モノ、金、情報)を活用して、変化する環境の中で最大限の経済的対価を獲得するための方法論。

b 企業のビジョンや使命を達成するための経営戦略を立案する。経営戦略から計画を立てる。経営戦略はあくまでも指針であり、計画は数値目標を伴った実行案。

(2) 成長戦略
a 企業成長の動機=成長することが企業の目標達成につながる+余剰資源の活用
b 成長の方向性



・市場浸透戦略=広告+販売促進+値引き
・市場開拓=男性向け化粧品+髪染め液+おむつ+Grayの中国コンサート→新規顧客開拓+提案型営業+輸出
・製品開発=DVD(革新的製品開発)+自動車のフルモデルチェンジ(漸次的製品開発)+自動車のマイナーチェンジ(製品改良)→研究開発戦略+OEM(他社製品を自社ブランドで販売する)戦略
・多角化戦略=MSのXボックス→新規事業開発
・多角化では経営資源の共有で効率を上げることが重要である。

(3) 改革戦略
a 企業改革の動機←環境に適応できず企業の目標を達成できない+経営資源の活用が非効率
b 改革の方向性



・改善=各部門の業務レベルにおける改革→全社的な効果は小さいものの、ちりも積もれば山となる。小集団による活動ゆえに、職務満足につながる。
・TQC(Total Quality Control)=総合品質経営→全社的にトップダウンによる改革+各部門の改善の統合
・リエンジニアリング=業務における重複の削除や組み替えによる効率化
・リストラ=会社の再編→会社の各部門を統廃合し、生まれた余剰資源を成長分野へ向ける。

3.リストラの戦略
(1) リストラの経営目的
a 拡大か絞り込みか、経営戦略の見直し。拡大路線の修正と、事業分野を絞り込むことで、戦いやすくなる。

b 企業内部における経営資源の有効活用。不足気味の経営資源をムダに使用している部門から引き上げ、本当に必要としている成長が期待できる部門へ投入する。

c 企業の経営資源の入れ替え。陳腐化した役に立たない経営資源を廃棄し、新しい経営資源を獲得する。陳腐化した経営資源はそれがあるだけで維持コストや在庫コストにはねかえり良くない。

(2) リストラの手順
step1 各部門の成果を評価
step2 企業のビジョンと戦略を見直す
step3 新しい戦略に基づく組織を考える
step4 部門の統廃合の計画立案
step5 部門の経営資源の必要性を評価
step6 評価に従って経営資源の入れ替え

(3) リストラの効用
a 不要コストの削減から短期的業績改善。

b 成長分野の事業強化や新規事業への参入から企業が活性化する。

c 企業の外へ出された経営資源が社会へ好影響を与える。

(4) リストラのデメリット
a マクロ経済的に見た失業者の増加と、リストラされた人の人生の破綻。

b 今度は自分がリストラされるんじゃないかという不安が社員に蔓延し、労働意欲を削ぐ。また、同僚を辞めさせて自分が社内に残る負い目というものを社員に感じさせてしまう。

c 成長の源泉になる余剰経営資源の削減が将来の成長可能性を減じてしまう。

〜信頼と誠実の経営〜