〜成功する独立〜

第3話          10 11
1.小さな会社の営業

(1) あらすじ

偶然再会した貫井と春菜は互いに意識をする。しかし、4人で食事をしているところに、春菜の友人の郁子が現れ、木村達が仕事のために春菜へ近づいたことを暴露し、春菜は傷つく。
?春菜は傷ついたものの、貫井のために企画を父へ見せると言いに来る。貫井と木村は広小路製薬のナチュラルアップの販売促進企画を張り切って考え、活気づく。3人のチームワークもしっくりいき始める。春菜は父に貫井の企画を見せるが取り合ってくれなかった。籐子はあきらめきれず春菜の父へ謝罪に行き、企画を見るだけ見て欲しいと頼み

(2) ドラマのポイント

a なぜ、貫井は最初、春菜のコネを使うことに難色を示したのか?

広告クリエーターとしてのプライドがあり、女の子のコネを使うのは邪道と感じた。また、春菜にそんことを頼むのは申し訳ないという気持ちもあったのであろう。

?b 結局春菜のコネを使った貫井たちのビジネスのやり方をどう思うか?

こうしたやり方をおかしいと感じるかもしれないが、貫井企画の存亡が問われる状態では、なりふりかまわないというのが、当初何色を示していた貫井や木村の気持ちであろう。

c なぜ、籐子は春菜の父へ会いに行ったのか?
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父親に怒られた春菜のフォローのために籐子が弁解する目的と、企画の優劣を競うプレゼンテーションに参加できないまでも、企画の優秀さを春菜の父に認めてもらい、一生懸命企画を作っていた貫井と木村の気持ちをかなえてあげたかったのであろう。

d なぜ春菜の父は貫井企画の企画を採用したのか?
?
企業は売り上げを増やすために広告を行う。そのため、より優れた広告企画案を採用するのは当然である。たとえ、手続き上の問題やルール違反であっても、貫井企画の広告案がより良いので、春菜の父は貫井企画と契約したのである。

e 広小路製薬の仕事が決まったときの貫井、木村、籐子の気持ちを考えてみよう。
?
初めて大きな仕事が決まったので、3人ともうれしいことは確かであるが、その心情は少しずつ異なっているようだ。貫井は春菜のコネを使ったというひっかかりがあるが、仕事が決まり、企画案の良さでコンペに勝った充実感、クリエーターとして存分に力を発揮できるうれしさ、会社が存続できるという経営者としての安堵感があったと思われる。木村は春菜のコネを使った後ろめたさはあまりなく、コンペに勝てた喜びとやっと仕事ができるうれしさがあったのであろう。籐子は貫井と木村がやりたい仕事ができるようになり、自分もそうした状況作りに貢献できたこと、チームの一人として貫井と木村に認められたうれしさを感じているようだ。籐子は自分が中心で仕事をしなくても、他の仲間の支援的(バックオフィス)業務でも喜びを感じられるようで、こうした人材が小さな会社にいると非常に助かる。

f 広小路製薬の仕事は貫井企画にとってどのような意味があるのか?
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会社がスタートアップした直後は、とにかく売り上げの確保が最大の課題である。かってのクライアントが離れてしまった貫井企画は、楠木文具の求人広告ような小さな仕事しかなく、このままでは倒産するのは目に見えていた。そんな状況で、数百万円の仕事が新規顧客の広小路製薬から得られたことで、当面の資金繰りの目処がつき、また、この広告が成功すれば貫井企画の評判があがり、新しい顧客の獲得やかってのクライアントが戻ってくる可能性が生まれる。

g なぜ、春菜は貫井から感謝され、「どういたしまして」と答えたのだろうか?
あまりにも貫井が喜んでいたので、言いそびれたところもあるが、貫井に好意を持っている春菜は、貫井の誤解をとかない方が貫井から好意を得られると計算したのであろう。


2.営業の仕事

(1) 営業とは?

?a 会社の商品サービスを販売する重要な仕事
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b 販売後のアフターサービスも担当することもあり
?
(2) 起業したての小さな会社の営業
?
小さな会社は資金的余裕が少ないので、営業の力で売り上げを早急に確保することが必要である。そのため、売るものがあれば営業に全力をかけなくてはならない。そのため、ドラマの中でも、営業はあまり得意そうではない社長の貫井自らがトップセールスに出向いて、営業を行っている。木村は木村のやり方で仕事を獲得しようとしている。籐子は広小路製薬の仕事を獲得するのに、大きな貢献をした。全員が営業マンとして活躍したから、大きな仕事が取れたのである。

(3) 顧客別の営業
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a
法人営業

会社、役所、団体など事業組織に対する営業。営業相手は担当者個人であるが、意思決定は組織として行われる。そのため、組織の視点で購入決定されることが多く、基準は組織にとってメリットが大きいかどうかという合理性に基づくものである。そのため、法人営業は合理的なメリットの説明を中心に行う。会社によっては購買権限が担当者個人へ委譲されているが、個人向け営業に近い手法が使われる。

?b 個人営業
?
個人へのメリットといった合理性をも重要であるが、義理とか人情といった感情へ訴えかけるような営業も必要。

(4) 方法別営業
?
a 新規客営業
・・付き合いのなかった顧客と取引を始めるための営業。顧客を探すことから始めるため、時間もコストもかかる。また、潜在的顧客とコンタクトがとれても、今までの信用や実績がないため、信用を得るまでの手間隙がかかる。
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b 既存客営業
・・既に取引実績のある顧客と、反復取引をする場合の営業。顧客が自社との取引に満足しているのであれば、タイミングを間違えないようにすれば比較的反復取引をしやすい。ライバルの参入に気をつけることをかねて、定期的にコンタクトをとることが必要。
3.営業のプロセス

?Step1 DMを打つ・インタートでの情報発信・広告・電話・飛び込み

?電話での営業やアポ(商談の約束)なしの飛び込み営業は、能動的といえる。一方、DM(ダイレクトメール)を出すこと、広告をメディアへ掲載する、HPで情報発信するなどは受け身で待つ営業である。営業する商品やサービスの内容や顧客の行動特性に応じて、Step1の方法を意使い分ける。
?
Step2アポ取り

電話で商談の面会の約束を取りつける。アポが取れたなら、その顧客は有望と考えられる。売りたい商品やサービスの知識を確認し、また、法人営業であれば顧客のことを調べたほうが、商談を進めやすい。
?
Step3
商談

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もっとも重要なのが商談。約束の日時に遅れず出向き、顧客のニーズや疑問を知り、適切な営業トークで、顧客の購買を促すような説明と説得を図る。
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Step4契約
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顧客が購入を決めたら契約書を作成する。
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Step5納品
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その場で渡せない商品であるばあい、指定場所へ納品する。

4.優れた営業
(1) 営業の本質
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顧客の課題やニーズを探り、
?自社の商品やサービスを使うことで有効かつ価値ある解決策ができるような提案を行う。顧客に言われたものを売るだけでは付加価値のある営業とはいえない。
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(2) 優れた営業
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a 顧客の欲しい商品・サービスを顧客が納得いく価格で提供できる

?b 商品知識や顧客の状況の把握など事前の準備で顧客に効果的に購買を促す。
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c 顧客が購入をなかなか決意できない場合、その原因を会話の中から探し、その原因を解消するような情報提供や提案をしていく。

?d 営業の定石としてよく言われるのが、「商品を売るのではなく自分を売れ」ということである。顧客が自分を信頼してくれることで購買に踏み切ってくれるため、自分を売り込むことも重要である。この人から買いたい、この人から買えば安心だ、という信頼感や熱意を感じてもらえるテクニックも必要である。

(3) ダメな営業
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a 売り手の都合ばかりを優先し、顧客の事情を軽視する。
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b 顧客の心理を読めず、適切なタイミングで購買を促せない。

c (2)の反対