?(1)事業や組織のライフサイクル
事業や組織は持続性を追求するが、いつかは終焉を迎える。人間で言えば寿命のようなものがあるという見方もある。人間は通常、誕生、幼児期、少年期、青年期、壮年期、老年期、そして死亡となるが、組織や事業でも誕生(導入)期、成長期、成熟期、衰退期と分け、それぞれのライフサイクルに合った戦略を取り、組織の構造や制度を変えていくというのである。
(2)組織が消滅する理由
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a経営資源が陳腐化して、価値が生み出せず、組織存続に必要な経営資源を獲得できない
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組織が存続するには価値を顧客に提供していかなければならない。しかし、顧客にとっての価値は変化し、その変化に対応して、提供する価値を変えていかなくてはならない。提供する価値を変えるには価値を産み出す経営資源やスキルを変える必要も出てくる。ところがそれらが変えられなければ、産出される価値も変えられない。もしくは顧客の変化を気づかず、変える意図を持たずに、産出する価値も変わらない。そうなると顧客が価値に対価を支払わなくなり、組織の存続が危うくなる。顧客が減少し、売上も減少して、資金不足から経営破綻するのが典型例。
b組織メンバーの不適応
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組織が顧客などの環境に合わせて変化しなければならない。当然、組織で働くメンバーも変わらなければならないが、人間の行動パターンやスキルはすぐに変えられない。その結果、組織が環境適応できなくなる。例えば、郵政公社は国営から民営化の流れの中で、職員の業務のやり方や意識を変えさせようとしているが、苦労している。
c市場の消滅
顧客が減少し、市場が縮小、消滅する。例えば、1960年代まで栄華を誇った石炭会社は石油への依存を強める国の政策変更で、顧客を失い、消滅した。
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dリスクへの対応失敗
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地震や台風などの自然災害のリスク、不渡り手形の受け取りや業務上のミスのようなビジネスのリスク、法律への違反、などリスクの対応ができなかったり、失敗することで、組織自体が消滅する。生産地の不当表示をした雪印食品が会社を清算する羽目になった。
(3)リスクの原因
?a 人の管理の失敗
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不十分な訓練や動機づけから、従業員の生産性が悪かったり、退職してしまう。
b組織内部の葛藤による内部統合の失敗
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愛子と勇介がアーム引越センターを退社したのが、こうしたリスクへの対応ができなかったことである。
c取引先の危機が連鎖的に伝わる
取引先の経営危機で、債権を回収できず、資金繰りが悪化してしまう。
?d 自然災害や過失による損害
自然災害により活動が短期や長期に渡って停滞する。
?e 利害関係者からの脅威
ニッポン放送の買収を仕掛けた好まざる株主のライブドアは、フジテレビにとって大きなリスク要因になった。
f 法律への違反や反社会的行為
三菱自動車のリコール隠しや自動車のトラブルによる、売上の減少が良い例である。
g 外部環境の急変
経済や政治の変化による脅威
中国の反日運動は、中国を相手にビジネスをしている企業にとって大きな脅威となっている。
?(4)リスクへの対応
a リスク管理マニュアルの策定
リスクが生じると、パニックになり、不十分な対応しかできなかったり、誤った対応をしてしまう。そのため、想定されるリスクとそれに対応するためのマニュアルを策定しておくと良い。全ての想定と対応はできないものの、最低限、誰が、何を、どのように対応するかくらいは決めておきたい。
b 保険をかける
自然災害、製造物責任などに関しては、保険が販売されている。リスクによる経済損失を軽減する保険を活用する。