(1) 業界の競争構造
a 業界の競争構造が業界の収益性へ大きく影響する。
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新規参入 の脅威 |
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供給業者 との力関係 |
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業界内の 敵対関係 |
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顧客との 力関係 |
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代替業態 の脅威 |
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b 業界内の敵対関係・・・業界内が協調しにくく、差別化しにくく、激しい競争をしているのであれば、価格競争に陥りやすく、業界の収益性はあまり良くない。
c 供給業者との力関係・・・原材料、部品、商品を提供してくれる取引先の業界の供給力が当該業界の需要に十分応えなくても良い状況であると、供給業者の業界の力が相対的に強くなり、業界の収益性は低くなりやすい。
d 顧客との力関係・・・需要が供給より少なかったりして顧客の力が強いと、価格を低めにしなくては売れず、業界の収益性は低くなりやすい。
e 代替業界の脅威・・・顧客が代替的な購入先の業界を持ち、その業界が顧客にとって魅力的であるならば、当該業界の力が相対的に代替業界に比べ弱くなり、収益性が低くなりやすい。
f 新規参入の脅威・・・新規参入業者がいると、業界内の競争が激しくなり、収益性が低下する。新規参入したがる業者が潜在的にどの程度いるかは、業界の将来の収益性へ影響を及ぼす。
(2)
競争戦略の定石
4つの定石から1つの戦略を集中して追求することで、収益性を高める。「二兎追うものは一兎も得ず」ということわざのいうように、競争戦略は1つ選択し、それを追求する。だからといって、低コストと差別化はどちらか一方を軽視すると、他社に対して優位に立てない。低コストに関しては他社並みを達成しておく。それに加えて差別化で競争優位を達成する。差別化を軽視して低コスト優位構築だけを追求していると、製品・サービスの陳腐化によって優位性を持続できないこともある。
a 低コスト優位の戦略 経営資源の効率の良い使用、ビジネスプロセスの効率化などによって業界において他社に比較して低コストで生産できる企業。低コスト優位の源泉は規模の経済性、経験効果、範囲の経済性、ネットワークの経済性といった全社的なものから、製品・サービスの標準化や事業活動の効率化まで多様にある。低コストを達成すると他社と比較して低価格で販売したり、同程度の価格で販売することにより収益性を高められる 例:トヨタ自動車、ダイエー(価格破壊)、マクドナルド、松下電器
b 差別化優位の戦略 製品やサービス上の価値ある特徴によって、業界他社と比較して高い付加価値からプレミアムを獲得できる企業。差別化優位の源泉は製品仕様、イメージ、技術、付加的サービス、チャネルなどがあるが、模倣されにくい差別化はいくつかの差別化要因を組み合わせることで達成する。差別化を達成することで、事実上の顧客囲い込みを成功させ、高い販売価格を可能にする。 例:本田技研、サティー(高級スーパー)、モスバーガー、ソニー
c 低コスト集中優位の戦略 特定の分野(製品種類・地域・業務・チャネル等)に絞り込んで、低コストを達成している企業。 例:スズキ(軽・小型自動車限定で低コスト)、ラルズ(道央中心に出店して低コスト)、アイワ(低価格AV機器に限定して低コスト)
d 差別化集中優位の戦略
特定の分野(製品種類・地域・業務・チャネル等)に絞り込んで、他社と比較して価値ある特徴を達成する。 例:AVEX(ダンスミュージックに特化)、CHANEL(高級品に特化)、東京の紀伊国屋(高級日用品に特化)、フレッシュネスバーガー、富士重工
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