第2話 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 最終話前半 最終話後半 | ||
1. 組織とは何か | ||
(1) あらすじ 1ヶ月しか工場にいないという意識の久保田(浅野)は、自分が本社へ戻れると信じており、工場従業員とのコミュニケーションも拒否する。一方、従業員も久保田を部外者のように思っている。しかし、久保田は岩佐(石田純一)から裏の事情を聞かされ、工場再建を真剣に取り組まなくてはならなくなったが、従業員は工場の経営には無関心で、野球にうつつを抜かしている。 a. 決算書・・・会社の通信簿のようなもの。売上、費用、利益を記録した損益計算書、会社の資産、借金、資本金の状態を示した貸借対照表などから構成されている。 b. 取引手形…商売には現金取引、掛け取引、手形取引がある。取引手形とは現金の代わりに使用する手形。 c. 労災・・・労働災害の略。会社の業務中に怪我をしたり、死亡した場合、労災保険から治療費や給与補償金がでるが、会社の労災保険の掛け金が高くなるので、会社は労災申請を渋る傾向にある。 d. 栄転…好ましい地位や職務へ配置転換になること(反対語:左遷) a. なぜ工場は月250万円程度の赤字が出ているのか? 売上に対するコストの超過が赤字の原因。玄さんは日本人の魚離れによる缶詰の売上減少と、漁獲高減少による原材料上昇と具体的に説明している。加えて、正社員の従業員が何もしなくても缶詰が生産できていると言うことは、余剰人員による人件費高も考えられる。解決策としては売上を増やすか、コストを低減するか、その両方を行うこと。当然だが、言うが易し、行うは難し。親会社の伍代物産では缶詰工場を海外移転することで、コスト低減を図ろうと考えている。 この工場の親会社は大手総合商社。工場の経営に対してかなりの支援を伍代物産が行い、赤字でも存続させているのであろう。「赤字でも会社は以前と変わらず存在する」こうした意識を従業員が持っているからである。日本ではバブル経済崩壊以降、赤字子会社をリストラする企業が多くなってきている。それと工場のシステムが経営サイドと現場サイドが完全に分離して、従業員が経営に関心を持てないようにしていることも危機意識の薄さにつながっている。実際の企業では、経営情報の積極的開示、業績と連動した報酬などで、従業員の経営に対する関心を高め、生産性の向上をはかる企業は多い。加えて、従業員が仕事をせずに、野球をしていても缶詰が出来てしまうという業務構造も、従業員が危機意識をもてないことを助長しているかもしれない。 以前は公式なシステムの中で上司と部下との関係であったため、命令にしたがっていたが、今は違うので彼にとってはうざったいだけ。久保田との信頼関係もなく、人間として好意も持っていない。また、久保田とつるむと新しい課長の下で彼の立場が悪くなるという懸念もあるかもしれない。部下を単なる持ち駒のように扱っているとこうなってしまう。 働きの悪い従業員を見て、久保田が怒るのは管理者として当たり前だ。しかし、彼女は従業員とのコミュニケーションを図ろうとする姿勢が見られないのは、組織のリーダーとしては失格。彼女の価値観やプライドが従業員との壁を作り、それが組織の有効性を阻害している。 |
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2.会社という組織 | ||
(1) 組織の定義…共通の目的(組織は目的がなくてはならない)を持った複数の人間と経営資源(2人以上の人と工場、土地、原材料、資金、情報から組織は成り立つ)による意識的調整(組織のリーダーが経営資源や人の配分を行う)を伴った協働(協力して働く)による価値産出システム(組織は何らかの価値を産み出し提供する) 組織は、もともと一人ではできないことをみんなで力を合わせて行うことから作られる。経済学的に言えば、組織は市場を補完する存在。 (2) 組織はオープンシステム…組織は外部環境(他の組織・地域社会・経済システム)の相互影響の下で活動していく ここでいう環境とは、自然などの環境よりも概念が広い。例えば、九十九里浜水産缶詰工場は親会社伍代物産、ライバル会社との関係、地元の鯖を原料としているので地域社会との関係、缶詰が売れなくなったとか魚が捕れなくなったという社会の影響の中で生存していく。 (3) 組織の必要3要素=共通目的+貢献意欲+コミュニケーション (4) 共通目的・・・組織メンバーの個人の目的とは別に、組織自体が使命や目的を持ち組織の中で共有する。 この不等号の式は、組織の内部均衡ともいう。誘因とは欲求を起こさせる要素。具体的には給料のような経済的報酬や働き甲斐のような精神的報酬など。これが満たされ、誘因と貢献がバランスしていることが、組織の内部均衡である。均衡が崩れると組織を辞める人が続出し、組織は崩壊することもある。 組織が目的を達成して環境の中で生存していくことを組織の外部均衡という。組織目的の正当性は、組織の活動が社会にとって価値があり、有効であるかという問題。目的の達成は組織の能率の問題となる。 組織のメンバーが共有する意識によって作られる他の組織との区別をつける組織メンバーが共有する認識。法律的には法人が組織の境界となるが、それと異なっている場合もある。組織の境界の中にいるメンバーと、組織の境界外部の人間では組織への態度や行動が異なる。 |
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3.経営者・リーダーの役割 | ||
(1) 経営者=組織を経営する人(社長) |
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