〜スモール・ビジネスの経営〜
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1.ニュービジネスの起業戦略 | ||
(1) あらすじ 自分の届けた携帯電話で、横田と恋人の由美子(京野ことみ)の別れを阻止した直美は、由美子に感謝され自転車便の仕事に魅力を感じ始める。そして、直美の機転によりTOKYO
EXPRESSは安宅物産の仕事を引き受けることになって直美はやる気満々。しかし、人手が足りない。 (2) ドラマのポイント |
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2.ニュービジネスとは何か? | ||
(1) ビジネスの種類 a ベンチャービジネスy→技術(シーズ)志向が強くハイリスク、ハイリターンのビジネス。IT、バイオ、ナノテクノロジーが最近のブーム。 b ニュービジネス→ニーズ志向が強くミドルリスク、ミドルリターン。バイク便や自転車便はその典型。 c コミュニティ・ビジネス→社会性志向が強く、ローリスクローリターン。介護ビジネスが市場としては大きい。 (2) ニュービジネスにおける起業 a 自分が欲しいと思うサービスや商品で、手に入りにくいものを自分で提供する。ただし、自分の欲しいものと社会の多くの人が欲しいモノが異なるかも知れないので、市場性のチェックは欠かさない方がよい。 b 自分ならばもっとうまく経営できると思う事業分野。うまく経営できるとは、経営資源の使い方、最終的な商品やサービスの品質や生産性、利益産出の効率などである。 c 自分の経験した事業分野やビジネスシステムの採用が望ましい。今までのビジネスのノウハウや人脈、場合によっては得意先を確保できる。 d 同業他社にない特徴。これがないと価格競争に巻き込まれたり、より競争力のある企業との競争に負けてしまう。 |
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3.事業の選定 | ||
(1) 何を事業領域(ドメイン)とするのか? a ニーズ志向→自分が不満と思うことや欲しいモノを事業化する b シーズ志向→自分の能力、技術、経験、趣味を活かした起業 c 収益性志向→儲かることで起業する d 使命志向→社会性や自分のビジョン実現のために起業する (2) 経験のある事業 経験、人脈、知識を活かせ! (3) 未経験の事業 a 資本参加で共同経営 b 同業他社で修行する c ネットワークを使え! d フランチャイズチェーン(FC)への加盟 e 成長のスピードを適度にする |
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4.ビジネスプランの設計 | ||
(1) ビジネスプランの設計(6W3H) a なぜ(Why)、そのビジネスを行うのか? 「自転車便よりバイク便が使われているのは日本だけなんだよ」by鈴木 b 誰(Who)がそのビジネスを行うのか 鈴木と仲間数人。1人、平均25便配達する。 c ターゲット顧客は誰か(Whom)?顧客のニーズは? 主に法人。迅速に荷物が届けば、ある程度費用負担もいとわない。「これだから素人は困るのよ。営業っていうのはね、相手を選んで狙い撃ちするの」by直美 d 何(What)を売るのか? 商品やサービスの名称だけでなく、自社の提供する本質的な価値を考えておく。単にデリバリー・サービスとするのではなく、急ぎの小さな荷物を、安い料金で迅速に届けるデリバリーサービス。 e どこ(Where)で売るのか? TOKYO EXPRESSの本社は港区か?実際のビジネスは顧客の会社と配達先の会社で行われる。 f いつ(When)売るのか? 企業の営業時間内。 g どのよう(How)に競争し、利益を獲得するのか? バイク便より、速く、安く荷物を運ぶ。自転車を使用するので、営業コストは低い。 h いくら(How Much)で売るのか? 10kgまで1,200円。 i 業務の具体的なやりかた(How to) (2) ビジネスシステム(業務の流れ)を書いてみる 寺井印刷(注文)→Tokyo Express(受注)→メッセンジャー(配達指示)→寺井印刷(荷物引取り&料金収納)→小学館oggi編集部(配達) (3) ビジネスシステムの各プロセスで重要なこと a 注文=認知+信頼+価格 b 配達指示=メッセンジャーの位置確認+スケジューリング+ルート設定 c 配達=迅速さ・正確さ+分業リレー方式+営業+サービス精神 (4) ビジネス・システムの優位性 a どのプロセスにおける部分的優位性?→受け渡し方式による配達担当エリア制の導入 b ビジネス・プロセス全体での総合的な優位性?→ビジネス・プロセスの部分的優位性の合計やビジネス・プロセスの各機能の連結から生じるシナジー。 (5) ビジネスモデル(ビジネスの仕組み)の競争力 a ビジネスプロセス優位性はコスト優位性?差別化優位性?その可能性を探索する b ビジネスモデル自体の市場創造力 c ビジネスモデルの効率性 |
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5.事業領域やビジネスプランの検証 | ||
(1) 市場調査による検証 a 観察法→店舗を構える候補地で客の流れを見る+起業を考えているのと同様もしくは類似企業や店で顧客の様子をチェックする+販売する商品をどこかのお店において顧客の反応を観察する b アンケート調査→起業を考えている事業に関するアンケートを取ってみる c インタビュー調査→対象とする顧客がどのようなニーズ(必要性)やウォンツ(欲求)を持っているか、聞き取る。 (2) データや情報による裏付け 公的白書、業界団体の統計、マスコミの情報、研究機関の情報 (3) 第三者からのアドバイスを受けてみる a 自分の思いこみを防ぐ b 他業界や他業態のノウハウを転用し、差別化する (4) 最終チェック a プレ開業→テスト・マーケティングをして、ビジネス・プランが正しいかどうか、事業に問題はないか、チェックする。 b 市場(顧客数)を小さくして事業を開始する→事業開始時には何らかの問題点が生じるので、大規模な事業展開を最初からすると、問題処理が大変。 |
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