File NO.312 NPO 

黒松内ぶなの森自然学校

1.団体概要
団体の種類:任意団体  代表者:高木晴光氏  代表者の属性:運営委員長
常勤職員:3名 設立年月1998年 事業規模:
2.黒松内ぶなの森自然学校設立まで

酪農を基幹産業とする黒松内町は、過疎地が抱える人口減と高齢化の問題から、酪農とともに地域が誇れる資源として、北限のブナ林を中心に町づくりを進めている。都市と農村の交流を目標に、まず滞在型拠点整備として宿泊施設「歌才自然の家」、自然環境教育を行う「ブナセンター」、などを1992(平成4)年までに完成させた。黒松内町は「ブナセンター」を中心に自然環境教育事業を行っていたが、折しも環境庁が自然環境教育指導のできる人材の育成をできる自治体を探していたことと、ノウハウ、財政、資材、人材を協働利用していくことを目的に、1998(平成10)年、この事業を民間へ移管するために、運営委員会を組織し、廃校になった旧作開小学校の校舎を活用して、「ぶなの森自然学校」を誕生させた。

3.黒松内ぶなの森自然学校の運営
 「黒松内ぶなの森自然学校」は、自然学校やネイチャースクールの運営を行う札幌のNPO法人ねおすが講師・事務局を派遣し、町内外の関連団体や環境教育を実践しているメンバーで組織された運営委員会によって運営される「官設・市民営」スタイルを採っている。高木運営委員長、小林事務局長、大久保氏という3名の常勤職員、非常勤コーディネーター1名、研修生1名を配置して活動をしている。町から支援を受ける研修生制度は、毎年全国から公募し、自然案内人や環境教育・自然教育指導者として実務研修(OJT)と研修カリキュラムによって育成、研修奨励金を支給している。第1期生の伊藤輝之さんは兵庫県から脱サラで黒松内に移転し修了後、同校の事務局長を務めたこともある。ここで研修した指導者が同校に残るか、他に職を求めるか、新たな自然学校を創るなどでネットワークで結ばれるなどによって事業が拡がっていくことに重点を置いた活動を行っている。
 毎第二土日に「イエティくらぶ」という子供の自然体験活動を行うほか、春、夏、冬休みには長期自然体験キャンプを実施している。これは、札幌のNPO法人ねおすとの共催することによって、都市でのマーケティングなど運営面において強みを発揮している。また、ブナセンターに設置された「学校教育部」を窓口に、主に道内各地の宿泊研修や小中学校向け自然体験学習のプログラム提供や講師派遣などを行うことによって、人的資源を近隣各自治体に活用している。
 黒松内の地元資源の町内向け還元プログラムとして、地元小中学生を対象に自然環境体験学習を行っている。これには、町民出資の「エコグリーン基金」という環境基金を用いて参加費の2/3を負担するなど、地元住民の理解も形成されつつある。


4.黒松内ぶなの森自然学校のビジョン
小学校の週休2日制と総合的学習の導入にあわせて、今後、子どもの自然体験活動、長期自然キャンプなどの需要の増加が見込まれる。黒松内では、これまで都市との交流促進を重点に、町おこし的視点での活動を行ってきた。しかし一方、黒松内町の自然環境の保全と自然環境学習のバランスを考慮に入れると大幅な受け入れは限界がある。そのバランスの中で、地元での地域交流促進事業の充実を図り、黒松内ぶなの森自然学校として独立したNPO法人化をめざし、次の世代・地域での活動の拡がりを目指した人材育成に重点を置いた活動を行っている。