File NO.305 特定非営利活動法人 
                   福祉サービス協会わかくさ
1.団体概要
法人の種類:NPO法人  代表者:作山すみ子氏  代表者の属性:理事長
専従スタッフ:?名 事業規模:3,500万円 設立年月日1999年4月
2.沿革
@ 平成元年から藤田文代氏が作ったボランティア団体「どんぐり会」へ作山氏も参加し、それがきっかけで福祉活動団体の設立を志した。
A 生活協同組合組織を考えたが、会員2,000人、資本金1,000万円のハードルがあるため、任意団体として「わかくさ」を立ち上げた。
B 介護保険制度導入をきっかけに、NPO法人へ。
C 事務所兼厨房設備として使っている公共施設を賃貸できたのは、市議会議員の口利きで市が便宜を図ってくれた。施設、設備、備品は寄付。
3.事業概要
@ 事業は介護保険事業、介護保険外事業、在宅給食サービスで、事業収入は3,500万円。
A 在宅給食サービスは利益は少々。函館市からの受託。平均70食のうち30食が受託事業。介護保険事業で利益をあげ、事務経費(主に事務パート職員5名)300万円を出している。
B わかくさの独自(介護保険外)事業の場合、スタッフ報酬の95%は人件費。働き手の待遇を落とさないため、支出が人件費に偏っている。独自事業だけでは事務経費も補えないし、内部留保もできないから投資が行えない。
C 報酬を下げるとスタッフが辞めてしまうし、サービス料金を高めると利用者が使ってくれなくなるジレンマに直面している。
D 古くからのヘルパーが主に介護保険以外の事業で働いている。
E 在宅給食サービス事業を拡大しようとしても、施設の規模が限界であるため、月水金に限っている。
F 現在はヘルパーの月給10〜12万円、20万円程度の人もいる。介護事業では顧客がなくなることで、仕事がなくなる懸念もあり、待遇は不安定である。事務パート職員は月給5万円程度。労働環境(報酬、雇用保険、健康保険)の問題を抱えている。
Gわかくさの抱える問題として、良質のヘルパーの確保、資金繰りの厳しさ(2ヶ月後に現金収入)、顧客の死亡やキャンセルなど不安定な収入、市との不十分なコミュニケーションなどである。
4.ビジョン
2002年3月には障害者授産施設(福祉法人一条学園)へ間借りして、活動を行う。施設の障害者に弁当の事業の手伝いをしてもらうなど、メリットは大きい。
5.分析
@ ボランティア活動から入った事業型NPOの問題点があるように思われる。介護事業は利益が出ているから良いものの、介護保険外事業において良質かつ付加価値の高いサービスを提供して、高い報酬を得ることができないのであろうか。
A 相乗効果を得やすい、高齢者の福祉から生活支援のフルサービスを提供し、1人の顧客から長期間にわたってより多くの利益をあげる戦略が望ましい。
(2002年2月調査)